物語を最後まで書くということ。


注:これは『桐原息吹の憂鬱』が書くきっかけではありますが、『桐原息吹の憂鬱』に対する記事にではありません。
そのことをしっかりと念頭においてお読みくださいますように。



以前、私はファンレター(多分ファンからだと思う)で「僕の小説を批評してください!」と小説を送りつけられたことがあります。
それが、お察しの通り、途中までしか書かれていなかったのです。
多分「起」の部分だけだったと思われます。


簡単にストーリーを紹介すると。
「このごろ冷たくなったお兄ちゃん。朝起こしに言っても邪険にするの。ぷんぷん。昔はあんなに仲よかったのにぃ。なんてことを考えたら、お兄ちゃんが事故に! 病院にかけつけたあたし、ベッドの上のお兄ちゃんが動けないのをいいことに思い切り抱きついた。えへ」
雰囲気込みで要約してみました。
これが、B5用紙に2・3枚に印字してあったかな?


いかにも「妹萌え」を狙ったであろう文章表現に、そのあたり妹属性のない私は笑ってしまったのですが、特に文章的に破綻のないものではありました。
ただ、この小説、あらすじの「えへ」の後はないんですよ。


ここまで送りつけられてきて、批評しろって言われても「だから、何?」ってなもんです。
感想なんてある訳がない。
書いたご本人は「萌えをちりばめたおもしろいお話」を書いたつもりでしょうか、お話がおもしろいかどうかがストーリー全体で決まるんです。


お話の頭部分を書くことなんで誰でもできるんです。
お話のネタを思いつく人もたくさんいると思います。
自分で本を読むなら、上のあらすじ程度のものなら楽勝でしょう。


最初から最後まで書ききらなきゃ、その人の小説を書く力量を判断できませんし、その小説のおもしろさも感じられません。
その人が小説をかけるかどうかは最後まで書ききった時に評価できることで、1シーン書けたくらいでは評価できません。


正直に言うと、送られた小説を読んだ時に。


「ふざけんな、こら。見ず知らずに人間に書きかけ小説送って批評しろだぁ? なめんとのか?」


ぐらい怒りました。


あげくにこの小説、書いたご本人の解説がついてまして、


「僕の周りはこんな妹いないっていいますけど、僕は自分の妹の理想を書きたかったんです」


批評してもらうのに、解説いれてくんなや。ボケ。


例え、それが作者の願望であっても、他の人に「俺もこんな妹欲しー。現実にはいないかもしんないけど、でも欲しー」と思わせないといけないのが小説ってもんです。
なのに、解説入れてくるとは何事かっ。


そんな訳でこの方には丁寧は言葉で「小説は最後まで読まないと評価できません。なので、続きを書いて送ってください」とお返事いたしました。
それから、その方から小説は送って来ませんでした。


そこで書くのをやめたのか、私に送ることをやめただけなのかは知りません。


当時のサークルの友人は、私に「おもしろいねー。続き読みたいなー」って言って欲しくて送って来たんだと言います。
そして、多分私ならそう言ってくれると向こうは思っていると。


甘かったねー。
あんな話甘々書いてても、私、こういうことには厳しいんだよねー。


厳しいついでに言うと。


誰かに評価されなかったくらいで書きたくなくなるなら小説書くなんてやめちまえ!


自分が書きたいことがあるから書くんだろ?
自分が思って言うことを表現したいから書くんだろ?
それは誰にも止められないものだろ?
その思いを強くぶつけてみろよ!


ともかく、最後まで書き切る情熱を持って小説に挑んで欲しいし、そして、書き上げたものを読ませて欲しい。


もちろん、続きものは商業ベースでも売られているし、同人ベースでも売られている。
でも、私は、あきらかな続き物は元々好きな作家さん以外は買わない。*1
自分が書くものも1冊完結を心がけてます。


※しつこく書いておきますけど、ウパ日記とはまったく関係ありませんからね。ウパ日記は私が勝手にウパ日記に行き着いただけで、読んでくださいと送りつけられた訳ではないから、全然本質が違います。

*1:WEB小説も元々興味ある作家さんのものしか読みません