名もなき毒


「容疑者Xの献身」を買ったものの、図書館で前から予約していた「名もなき毒」が回ってきたので先にそっちを読むことにした。


※以下「名もなき毒」のネタバレが含まれますので未読は方はご注意ください。











登場人物の一人に「原田いずみ」という人がいる。
彼女は主人公の会社のアルバイトなのだが、面接でできるといったスキルが全くできず、それ以外にも働く人としてどうかという勤務態度を取るので結局は首になる。
その後が一騒動。
彼女はヒステリックに暴れる。物を投げ付けで軽症を合わせるなど物理的なことからありもしなかったセクハラを訴える。
等々迷惑行為を繰り返す。
主人公が履歴書の職歴を確かめるために前の職場に問い合わせると、勤めていたには勤めていたのだが、そこでも職歴を詐称していてないスキルがあるように言ってあるバイトに入り、そして、ばれて、こちらでは編集長をストーカー呼ばわりしていた。


理解不可能な行動に「なぜそんなことをするんだろう」という問いが発せられ、それにぽつりと「何か騒ぎを起こして自分がその中心にいたいのでしょう」という呟きが返される。


読んでいて、この下りが「ありえない」とは思えなかった。
そんな人にリアルで出会う確率ははてしなく低いのにありえないと思えなかった。


原田いずみのような存在は「名もなき毒」のタイトルそのものだ。
この例えようもない毒に、名前はない。
名前はないけれど、人を殺すことができる毒だった。


まだ最後まで読んでいない。
彼女の毒は中和されているのだろうか?
そうなっていることを願う。*1

*1:宮部みゆきなんであんまり期待はできませんが